この漫画が連載された1980年初頭は、「強い女性たち」が社会に進出しはじめ、世の中で叩かれ始めた時期でした。
学生を主人公にした漫画らしく、当時の風俗の流行りすたりがすぐに解るような会話が同世代のノスタルジーをかき立てます。かき立てますが、決して古くはない。 それは、小夜子という哀しいキャラクターがどの時代にも存在するネメシスの象徴として描かれているからではないでしょうか。
誰にとっても不思議と興味の対象となる「転校生」。
転校生がその人気を保つには、「謎」が解かれたあとも持続するなんらかの魅力がなければなりません。
小夜子の場合、その魅力はもちろん容姿とどこか儚げな風情で十分であったともいえますが、なにより大きかったのは、「決して解けない謎」を秘めつづけたことでしょう。その謎にネメシスとしての資質が潜んでいます。
全ての例外を許さない強い性格。
一見そうとは見えない小夜子にはそれが備わっています。
そして、実行力もまた・・・。
小夜子の愛した男「涼」も彼女にとって例外ではありません。
最後の最後まで、復讐の女神でありつづけた小夜子。
全ての男を憎み続けた彼女の情念は、どこに行き着くのか。
女達は今も、復讐を続けています。
その手をゆるめることなく、裾野を拡げていくのです。
まるで何かに追われているかのように・・・
自らがネメシスに追いつかれることのないように・・・
yoshida_kisshotennyo
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