本日から通勤電車の本は「ある作家の日記」。
ヴァージニア・ウルフの死後、夫であるレナードが彼女の日記の中から創作に関すると思われる部分を抜き出して編纂した一冊です。
なにしろ27年間の記録からの抜書きなので分厚いけれど、彼女の死んだ後には三十冊近いノートが残されていたというから。。。本当に書かずにはいられなかった人なのだなあ。。
ひとりの人間の日記を抜書きすることの危険性についてレナードは十分に気づいていて、そのことについても前書きで丁寧にフォローしてる。
前書きの真摯さをもってしても、彼がどれほどにヴァージニアを芸術家として尊敬していたか、彼女らの生活が充実したものであったかが伺えて、つくづく人間の生き様なんて周囲でなんとでも湾曲されてしまうものなのだなあと痛感。。後世ではどんどんマスコミ的に都合の良いデフォルメばかりが進んでしまうだろう。。
ヴァージニアの恋人であったといわれるヴィタ・サックヴィル・ウエストも日記には登場しているようなので、後世の人間の気軽さで彼女の側から恋の沙汰を眺めてみようと思う。。。なんて、本当は読んでいる間に気持ちが巻き込まれるのが怖いので虚勢をはっていたりして(汗)。
彼女といい、メイサートンといい、トーベ・ヤンソンといい、最近の私は20世紀を生き抜いた(あるいは挫折した)女性たちに強く惹かれる。私より約半世紀から一世紀前の時代にあった女性たちが「自らの人生を生きた痕跡」を後世に残すには、今の何倍ものパワーが必要だったと思われる。そのパワーが今の私には魅力的に見えるのかもしれない。。
(「ある作家の日記」・みすず書房・1999年12月刊)
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