人間に限りなく似せてありながらも、人間にはあり得ない比率をどこかに持つ人形は、それ故に神にも似た存在として、人々をひきつける。恋月姫による人形の魅力を写し取った写真集。
原宿の喧噪をほんの一足逃れた場所にある、廃屋が、その場所でした。
「恋月姫人形展『月の柩』」。
5月の浅緑に包まれた洋館で、ひっそりと柩に抱かれて眠る人形たち。
人形は少女のものだ、というのは正しいと思う。
なぜなら、人形は、それ自体では意味を持たないものだから。
理解を必要としない存在だから。
ミニカーには遊ぶ目的がある。
三輪車には乗る用途がある。
けれど。
人形には何も意味がない。
目的を必要としない。
ただ、そこにあるのみ。
恋月姫の人形はけして理解出来ない。
少女はけして理解したがらない。
そうして出会ったふたつの魂。
完璧な不調和が少女の胸を悪くさせる。
不機嫌な幸福が、少女をみたす。
不安を持って、少女は人形に語りかける。
なぜなら、彼女は人形が満たされないことを、しっているから。
硝子の柩のなかの人形たちは完璧に幸福だった。
血の涙をながしながら。
問いかけるわたしに、
「わたしの造る人形たちは、すべて神への捧げ物なんです」
その女性は笑みも浮かべず、そう応えた。
http://www.koitsukihime-doll.net/
恋月姫の公式サイトです。黒猫姫さんが運営されています。人形の画像や作家恋月姫との直接のやりとりもBBSを通じてできます。
http://www.phoenix-c.or.jp/~masato/dolls/
M's Factoryさんによるサイトに、恋月姫の人形展(札幌)の時の写真等が載せられています。
生の人形には適わないけれど、魅力の欠片を手にとってみたい方はどうぞ。
「Prints21 巻頭特集 恋月姫」
ア-トの雑誌『Prints21』 2001年春号
(株)プリンツ21 発行
雑誌のため再版はなし
税込み1500円
・恋月姫の新作人形を含め、作家の言葉世界や人形世界を作家が好むさまざまなジャンルから紹介。恋月姫自身のインタビューはもちろん、衣装制作者、写真家片岡佐吉のインタビューも収録。人形のデッサンや仕事場のショットなど貴重な映像も。球体関節人形の歴史も紐解かれる。人形に対する思いの深い全ての方必見。
震える眼蓋恋月姫人形作品集」
恋月姫人形制作 片岡佐吉写真
2000年10月 角川書店 発行
ISDN404853257X
税別2800円
・2年前の人形写真集の後の作品中心に、片岡佐吉の恋月姫人形への思い入れを痛感させる一冊。
(1998年11月・小学館(Spirits amuseum)・ISBN4-09-359081-8)
ningyo_hime
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