私は中山可穂にちょっと青春を感じてしまう年齢になっちゃいましたがどうにも気になる作家です。
おそらく彼女が演劇出身だからかな←芝居好き
なんだか恋人と彼女の描く主人公の面影が重なるせいもある。
中山可穂を私が最初に読んだのは「猫背の王子」でした。でもこれが私にとっては大失敗。私にとっては。。ね。
ビアンものだからと手にとったことにしっぺ返しをくらったようで、「この人は芝居が好きなのね。お芝居続けたほうがいいんじゃない?」と思ったのでした。ファンに殺されそうだな。。
で、その後何年も新作が出ようとなんだろうと読む気にならなかった。で、ひさびさに恋人の部屋で見つけた「感情教育」を読んだら、「うまくはなってるけどやっぱりテーマも動きがない。。」と思って。。それからは急速に興味を失ってしまってたのです。
去年だったっけ。「白い薔薇の淵まで」が山本周五郎賞をとったと知って。
正直なところ「うそでしょう?あの人が。。?」と思った。
でも、何年も読んでいないからそれで判断するのはおかしいかと思って(さらにまだ気になっていたのは確か)、改めて「白い薔薇の淵まで」を読んだら。。これが面白い面白い。
思わず恋人に云ってしまった。
「中山可穂、すごいうまくなってるよ!!」
。。。。。お前は何様だ?>自分
その後、賞のおかげなのか文庫本が出始めたのであらためて未読の本を読んでみました。
天使の骨、サグラダファミリア、深爪、近作の花伽藍。
全部読んで思ったのは、とにかくこの人が書きたいものってひとつなんだなということ。
でも、それを持っているのってとてもとても強い。
私は「天使の骨」が一番好きです。
というのは、やはり最初にも書いたけれど、私は中山可穂を「青春小説」って思っているから。
そう。中山可穂がどんなに「不倫」とか「略奪愛」とかいうコピーを帯にまとっていても、やっぱり彼女が書くものって伸びようとする人間が周囲によっていびつに歪められたことへの哀しみを書いているように思えるの。
それってひとりよがりだし、ヨワヨワだったりする。弱いことをさらけだすことで自分は強いんだと見せてはいないか。。?
その疑問は残る。
けれど、天使の骨のミチルは弱さを克服しようとしてる。すくなくとも。
それが中山可穂の他の作品にはない「大人への一歩」のように思うのね。
seishun_nakayama
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