テレビのビンゴ番組と、ダンスパーティだけが楽しみのスウェーデンの田舎町の学生達。そこに暮らすさえない少女アグネスの初恋は、同級生の女の子エリン。モテモテのエリンは姉との賭けでアグネスのファーストキスを奪ってしまう。一見はすっぱで友達も多いエリンと、内気で嫌われ者のアグネス。その表面上の対照が、実は内面は裏返しだということに、お互い気づかないまま、惹かれあっていきます。
この映画で一番印象的だったのは、 ほとんど全編を通して主人公の一人アグネスが頬を涙に濡らしていたこと。そして、その涙はそのまま私に伝播しました。ココロが痛い。そんな思いを消し去ることさえできずにただ抱えてゆくしかないアグネス。
対してエリンは、涙を流すことを知らないまま、ココロの傷を自分で癒すことができないでいるのです。
アグネスの涙は、 正直でしかあり得ない彼女の、強く美しい意志の顕れです。どうあっても自分がエリンを好きだという事実をまっすぐ見つめることしかできず、憎むキモチに歯止めもかけられない。キリキリとどこまでも研ぎ澄まされるアグネスの感性が、この映画の柱になって、縮んでしまいそうな私の心を励ましてくれました。
アグネスが心を打ち明けていた唯一の相手は、PCの日記。
それがやがてエリンとのほんの短いふれ合いから見る見る外へ外へと導かれ、戻れない世界へと連れ出されていくのです。たとえ傷つけられてまた閉じこもっても、一度空の色を知ったエリンはアグネスへと向かって飛び出して行きます。
小さな田舎町で、PCを相手に心をうち明けていた少女が、外に向かって開いた扉は、どんなにか他の人々に眩しく見えたことでしょう。。
エリンの場合は 実はアグネスよりも重傷。誰にも心を開いていないのです。
お姉さんにも、ボーイフレンドにも、誰にも心の拠り所を見いだせないエリン。
モテる女の子、世界で一番自分がクールだと信じてる女の子は、実は世界で一番孤独だったのです・・。そのコトに初めて気付いたエリンが取った行動は・・・?
迷いながら、傷つきながら、 時々後戻りしながら。
あぶなっかしいけど。
はらはらさせられるけど。
どんな風にしたって生きていかなきゃならないなら、自分の進む道は自分が信じたものでありたい。
そんな生き方の原点を思い出させてくれる映画です。
(1998年/スウェーデン映画/KUZUIエンタープライズ配給/1時間29分)
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