「サグラダ・ファミリア」
このタイトルの意味について。
やっぱり「血」で繋がる「家族」に中山可穂は限り無い憧憬を抱いているのではないかなあと思った。彼女の描く世界でいつでも家族って主人公が憧れて憧れてでも得られないものの象徴であり、自らの好きな相手を縛り付ける憎い存在でもあったりする。
つねに二人を結び付けるのは「個」としての存在であってほしいと思いつつ、同時に無条件に結ばれた「家庭」にかなわない思いを抱いている。
サグラダ・ファミリアはめずらしくその「個」と「家庭」を飛び越えて願いを成就させた物語のような気がする。
そこに本来の「恋愛」が存在しないのはやっぱり中山可穂が恋愛の永遠にあこがれつつ諦めていることの象徴なのかな。。なんて思ったりして。
次世代に残す「血」をもたない者としては、愛を次世代につなげていけたらな。。なんて思ったりする。
(1998年6月発行・朝日新聞社刊)
sagrada_familia
最近のコメント