二十年前の少女漫画スタンダード川原由美子の近作。なつかし。
未だ現役のばりばり少女漫画描きってすごいことだなと思う。
それだけで作者の「少女」へのこだわりが。。
この世で最高の逸品。少女そのものの姿をした愛玩物。プランツドール。
もちろん値段も超一流。
生きているようで死んでいるようで。。
一日二回のミルクと、愛情がなによりのプランツのごちそう。
なにもしない。ただそこにいるだけ。そして、気に入った主人にはほほえみをみせる。
そのほほえみだけで人間に生きる気力を与える。
このドールは一見女性ジェンダーのメタファーみたいに見える。
でも違う。
この場合、ドールはありとあらゆる欲望の対象のメタファー。
それが「少女」の形をしていることは、つまり「性的な欲望」を排除するという意味をあわせもつ。
プランツの持ち主に許されるのはほんの僅かな代償のみ。
ほほえみ。
そのほほえみを得るために持ち主は日々働き、高額の購入代金を返済し、最上のミルクを与え、一流の衣服を着せ。。
やがて持ち主は願いを胸の奥にともす。
毎日微笑んでくれないだろうか。
ほんのひとこと口をきいてくれないだろうか。
抱き締めたら抱き締め返してくれないだろうか。
仕様書にない、過剰な干渉と愛情。
仕様書にないものをあたえ、ない愛情を注がれた人形はやがて、持ち主の望んだ通りのものになる。
オンナ、になる。ジェンダーをもつ。
望んだ通りの結果に、けれど持ち主は驚愕し、絶望する。
望んだ通りの結果に。
性的な欲望を満たすために相手にジェンダーを与えること。
その落とし穴から落ちた先はどう見えるのか?
(朝日ソノラマ・眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
plants_doll
最近のコメント