とても良い。
最初読みはじめて、止まらずグングン読み進んでしまうものって小説にしろ漫画にしろ実は最近少ない。
特に今は注意力散漫なのか、どうも集中することができない私にとってはとてもエキサイティングな瞬間を持つことができる貴重な漫画だった。
特に好きな相手とつきあったことのない主人公ルツ。彼女の恋人である龍ニとの関係もどこか希薄。
そんな彼女が出会った女性が環。
環はルツに、ルツは環にひとめ惚れした。でも自身がレズビアンの自覚をもち、傷ついた経験から恋人にはレズビアンを選ぶと決めている環は最初ルツを拒否する。
それでも心の動くままに環に接近するルツを受け入れるようになる環。けれどルツは環が最初恐れた通り、恋人である龍ニにも、環にも互いの存在を隠したままつきあい続ける。
ストーリーだけ書いていくと都合のよい二股の恋愛に自分を見失っていく女性の話のようだけれど、この主人公、ルツが良い。女性に惹かれることを自分の中で消化しきれず、男性の恋人に我を忘れて身をまかせてしまうくらいのもろさ。ずるいけれど、そのずるさを自分の中に見つけてしまう人はビアン・へテロに関係なく多いと思う。
そして、龍ニが生きている男性であることを真正面から描いてる。
sexの後、いつも背をむけて丸くなるルツの背中にむかい、話し掛ける龍ニ。
「ルツ、おれは本当の君が知りたい」
こういう男性を、いいかげんに扱ってきたルツ。
彼女の汚さ、真剣さ、甘さ、そして最後に見せるエゴイスティックな真摯さ。
清濁共に描いた漫画家の姿勢に感動する。
こういう漫画を10年前に読みたかったな、なんてひとりごちてみる。
もちろん今、でもいいけれど。。。
(2002年12月発行・祥伝社・やまじえびね「インディゴ・ブルー」)
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