アンネホルトの描く事件描写は妙に生々しい印象が残ります。
1999年9月現在三作「悪魔の死」「土曜日の殺人者」「女神の沈黙」が集英社より翻訳・出版されていますがそれらすべてに直接女性が関わっているのが、同じ女の性を持つ私にそういう印象を引き起こすのか。。。ある時は被害者側、ある時は加害者側、様々な形で女性の「性」が関連します。
特に二作目の「土曜日の殺人者」では、レイプという人間の尊厳そのものを犯す犯罪がテーマの一つになっているためか、時々読むのが苦しくなるほどです。
ホルトは、すべての作品中で現代での女性の在り方、社会との関わり方を問いかけていますが、特にこの作品では主人公ハンナの言動、同僚の男性との関係からハンナ個人に限らない全ての女性にむけたメッセージを発しているように受け取れます。
もちろんハンナがビアンである以上、同性の恋人であるセシリーとの関わりをどう自分の中で、そして周囲との関係の中で拡げていくかが大きな課題になっています。
・・・とかいいながら、とても不思議なのはこのホルトのシリーズに限らず、警察官(探偵)の同性の恋人はなぜすべからくカウンセラーなんでしょう。。。????
偶然なのかわかりませんが、日本で訳されているビアンものミステリー(のうち私が知っている三シリーズ)すべてがこの設定というのはあまりにもバラエティなさすぎですよね・・・。
なんだか同性愛者にはカウンセラーが必要という図式を作り上げる可能性があるようで、ちょっとイヤです(苦笑)。
で、ハンナの恋人セシリーですが、ケイトの恋人リー、またローレンの恋人キップと比べて一番奔放で我が強いタイプのようですが、私は割と好きです(笑)。
頑なに同性の恋人がいることを周囲に隠すハンナが、「土曜日の殺人者」の中で期せずして同僚を二人の家へ招待する羽目に陥ってしまいます。汗だくのハンナを目の当たりにして、その後ピンクのハーレーの後ろに乗せられたセシリーが高笑いをするというシーンがありますが、こういうしたたかさと我が儘さも共感できます(笑)。
まだ三作目、この後二人の舞台はアメリカへうつるとのことです。
どうなるのか、まだまだ期待♪
holt_akumanoshi
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