眺めのいい部屋、やはり好きですー。。
この映画が公開されたのは1985年。日本では1986年ごろ?
私の記憶ではまだ学生のころで、近くの映画館へ通って何度も見ました。
さらに、ビデオになったのを何度も何度も見て。。。
そのころからもう十年か十五年ぶりくらいに見たけれど、台詞は俳優の言い回しの通り、場面転換のタイミングまで覚えていて、私はいったい何回見たんだとあきれたくらい。そしてヨルと夕べみて、今日は一人でもう一度見てしまった。。。ほんと好きなのよねー。。ヘレナボナムカーターも超可愛いんだが(ヨルは好みじゃないそうな)、とにかく全て好き。。
ストーリーは、19世紀、イギリスの中流家庭のお嬢さんルーシーがお目付け役の年上の従姉妹シャーロットと旅行したイタリアで同じイギリスのブルーカラーの青年ジョージと知り合い、ほのかな恋心が生まれる。けれど、階級制度に縛られたルーシーはその恋を自分で認めることができず、さらにお目付け役のシャーロットの邪魔もあって身分違いの恋はさまざまな障害にあたる。。
この時代の閉じられた人々の恋愛への欲求。
閉じられている人々は噂ばかりを楽しみ、噂の主役たちは人生を楽しむ。。
ルーシーの堅苦しい年上の従姉妹シャーロットは、最後まで身も心も開くことのなかった少女の行く末の姿でもある。
ルーシーは豊かな心で恋に向かって思い切り心の窓を押し開き、恋の困難に直面し、人生の新しい場面を自ら切りひらいてゆく。。。
フォースターの原作に基づいた映画は、決して階級の上の人々も下の人々も否定してはいない。
ルーシーの婚約者シシルにしても、単純にルーシーと生き方が違うだけで、決して悪人でもなければ蔑むべき独裁者でもない。ルーシーはジョージの受け売りの言葉でシシルを罵るけれど、それはあくまでルーシーがジョージを愛していることの言い訳でしかない。
本質は別の場所にある、ルーシー自身にあるということを、この作品では繰り返しルーシーが周囲に対してつく嘘で現している。。
「私はジョージを愛していない」
「私はシシルが自分を物のように扱うから結婚したくない」
「私は噂を封じるために旅行に出なくてはならない」
「母は私を信じているから裏切れない」
すべて、ただひとつの真実を自分の中に押し込めるため、ジョージを愛していることを隠すための嘘。
自分自身でないものを装うのは苦しい。
自分自身でないものになりきるのは苦しい。
自由な心を押し込め、噂話で他人の色恋をさもしく漁る姿に、この映画は容赦ない皮肉を浴びせ、そこから遠く離れた自由な魂を讃える。
階級の違い、文化の違いに罪はない。
存在するのは心の壁で、それを取り払った裸の心こそが、真実の愛を勝ち得る。。
フィレンツェの空高く、翼を持って恋人たちは舞い上がってゆく。。
room_with_a_viewm
最近のコメント