ギリシャ悲劇について私は詳しくないのですが、ク・ナウカで上演されたものはすべて、見事に現代と融合して古さをまったく感じさせない普遍的な価値観を描いていました。
私が最初に好きになったのは「エレクトラ」です。
美加里(エレクトラ)の身体の美しさと、表情の鋭さに射抜かれて、ただただ食い入るように見つめました。あの公演、都内の倉庫だったんですよね。だから、舞台といっても客席よりも低いくらいの場所で、見る人間はほぼ出演者たちと同じ高さの目線。
舞台との区切りがないために、登場人物と同じ空気を吸って、同じ緊張感を味わうのがものすごくスリリングでした。
とても古代のはるか遠い国の話とは思えない、激しい感情が倉庫内に満ち溢れていて。。。一発で引きずり込まれました。
ギリシャ悲劇に限らず、演劇でよく語られる「男らしさ」はその多くが社会を体現するために仕方なく振られる役割分担だったりするような気がします。
おそらく本とは違って、老若男女が入り混じって見るという舞台の空気が影響していると思うのですが、露骨な女性蔑視はくるめられているような気がします。。
つまり、実際の社会をあまり反映していないことも多いような。。。
なので、どうかすると私は演劇を実社会からの逃避に使ったりしていた部分もあるような気がします。。
ただ、その分理想がより反映されやすい。。
私は本は実社会のデフォルメ。
演劇は実社会の理想。
というような捉え方をしています。
簡単にまとめすぎか。。
ギリシャ悲劇から離れて、宮城聡のク・ナウカの面白いところは、女性の描かれ方。
男らしさが過剰に描かれるときも、女性はあくまで「女性らしく」はない。愛らしかったり優しかったりする表面的な「女性らしさ」の謂れはこの演出にはまったく見られなくて、むしろ内面の強さや見た目の鋭さで勝負する。
それが私の好きなところ。
やっぱりまた、見たいです。
miyagi_tamatebako
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