夜中一時、恋人と、残っている猫を間に抱いてベッドの上、黙祷した。
丸三年、あれから時間は流れた。
当時自宅療養していた恋人は、手術を経て回復し、ときどきの通院をしながらも元気に仕事をしている。相変わらずすぐ調子に乗って無茶をするけれど。
あたしはあのころと同じ仕事を文句いいながらも細々続けている。他になんの自慢もできないけれど、頑張っているよ。
残されたあなたの弟分は、とうとうあなたの年を追い越してしまったよ。同じ病気を抱えているけれど、信じられないくらいに元気。ううん、信じるよ、彼は元気。それでもあなたは彼のお兄ちゃんだよ。昔からあなたよりでっかい子だけれど、うんと先にそちらで迎えるときに驚いて逃げ出さないように、ね。
その命をもってたったひとつあたしに教えてくれたあなたを、あたしはこうして弔ってゆく。涙は少しずつ透明になってゆくけれど、あたしのあなたへの気持ちはあの三年前にあなたと一緒に煙になって空へのぼっていったまま。その夜降った雪をあたしは忘れない。きれいだったね。きれいだったね。きれいだったね。
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