浅黒いロマの人の肌に、漆黒の巻き毛。瞳は何色だろう。まだ見えない。
冷たい雨の中、会いたい人に会ってきた。といっても、その人とは目で挨拶しただけ。応対してくださった助手の男性方がみな雰囲気がフェミニンで、なにかほっとする。同じ見知らぬ人でも、同年輩の女性に対しては大抵強い違和感があるのに(趣味指向をある程度知る相手はまた別)、フェミニンな男性にはより親和性を覚える。
あたしはひどい人見知りなのだ。人見知りゆえに初対面の相手に妙なテンションの高さで接してしまい、後日そのテンションを保つのに必死になって疲れてしまう。恋人にも指摘される、『驚くほどの愛想の良さ』の正体。仮面だから、恋人も「そういう時の琉璃はいまいち」と歯切れが悪い。完全に治すことは出来なくとも、もっと私自身楽になれる対人法があるはずだ。人見知りは人見知りでいいじゃないか。大人らしくそういう自分のあるがままで接したい。
そう思って出掛けた今日だったから、緊張を無理に押し隠すこともせず、助手の方の説明を聞いて、あの人にも敢えて話し掛けたりしなかった。
帰りぎわ、お邪魔しましたと入り口で頭を下げたら、部屋の一番奥にいたあの人は慌てたように作業の手を止めて、あたしの方を見て一礼、あたしがペコリと目礼したらさらにもう一回、しっかり視線をあわせて頷いた。それであたしは、あ、と思った。この人はあたしと同じ、人見知りなのだ。愛想がないわけでも、感じ悪くしようとしているわけでもなく。たった一瞬の目で、安心感を得た訪問。これが今後につながるか否かはまだ、未知数。
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