天使の骨、大好きです。
中山可穂の中でもずばぬけて好き。
私の中ではヨルみたいに
「自分のことをいわれているみたい」
な感覚ってあまりないけれど、どこかで見た、どこかで感じた出来事を映像にして意識下に流し込まれているような直喩的フィーリングがある。特にぼろぼろの天使が大挙して通っていく映像ってあまりにもリアル。
私の前を天使が通ったら。。どうするだろうなあ?
ファドの中で脚本を書いていくシーン、皮膚が焼け付くような、喉がひりつくような痛みを感じる。
私が好きなシーンは、ミチルが久美子とタンゴを踊るところ。二人がお互いの目の中にしか存在しないような切実さをもってただ踊りに打ち込む狂おしい姿にとても惹かれるよ。それから最後。
遠くから駆け寄ってくる久美子の姿って、ミチルのシリーズを通して始めてみえた光明のようで、まぶしい。
あの本のハードカバーって表紙の絵がすばらしい。まるでそのために書き下ろされたようだなと思ったら、ウォーホルだったので二度びっくり。自分の死後、遠く日本で愛を描いたかけだし作家(この本の当時は)の表紙に使われるのって、ウォーホルならきっと喜んだだろうな。。とか思ったりして。
(1995年9月・朝日新聞社)
tenshinohone
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