オノヨーコの展覧会が水戸美術館で開催中です。
ヨーコとジョンレノンの出会いを作ったことで有名な作品「CEILING PAINTING (YES PAINTING) 」を含む、見るものになんらかの行動を起こさせる力をもつ作品群が展示されています。
ヨーコのこの白い梯子とキャンパスを見て私に思い浮かぶのが、夭逝した人形作家天野可淡の遺作のひとつである、ジャン・コクトーの「オルフェ」をモチーフにした、黄泉の国へ向かう鏡をあつかった作品です。
白い螺旋階段が天国へ続くイメージを表していたようなモチーフ。
この可淡の作品は写真でしか見たことがないのですが、人形作家として円熟の域に達しつつあり、数々の賞を受賞して頂点へとのぼりつつあった可淡が、けれどどこか満たされぬ思いの中、手に入らないものへ向けて必死に手を延べている。そんな印象が、切ない人形の表情に閉じ込められているように感じたものです。
ヨーコの「YES」と書かれたキャンパスには、見るものが決意をもって梯子を上ってゆかねば到達できません。
美術館にいながらも、その作品を堪能するには作品にむかう僅かながらも確固とした「意思の力」が必要なのです。
同じ「意思」の強さを可淡の人形を見るときにも求められます。
白い梯子で上っていった先にある「YES」を見るために、手をさしのべた白い階段の先、鏡のむこうの世界を得るために。強く上へと上る意思の力は、見るものを強烈に肯定的な世界へと誘います。
可淡の死は、その衝撃的な最後から悲劇ととらえられがちです。
しかし、彼女の作品はすべてが、強い、真っ白なほどに強い光を放っています。
オノヨーコの作品たちを染め上げる白さと、人形作家の作品から放たれる白い光は同質のプラスパワーを持っているように見えてなりません。
女性が前へ進もうとするとき、必要となるのは社会を憎む力ではなく、すべてを肯定し、受け止め撥ね返すパワーなのかもしれません。
70歳を迎えるこの女性。そしてもう一人は、すでにこの世にない女性。
どこからきて、どこへゆくのだろう。。。
その後ろに続きたいと思いながら、そう思ったときにはもう姿は見えなかったりするのです。。
水戸美術館関連ページ http://www.arttowermito.or.jp/art/yokoonoj.html
yes_yoko
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