私がつい最近感じていたこと。
性欲と愛の分裂について。
私自身が感じることについて。
私はこう書いていた。
性欲と愛は別物だ、と。
同時にこう書いていた。
性欲と愛は一体だ、と。
大きな矛盾。
これで良いのだ、と思いながら、どこかでその矛盾を拭い去れない。
私は理屈と反射の狭間に立って、どちらを見ればいいのか分からなくなって、いた。それは、六年という年月が積もらせた埃によって形も見えなくなった愛のなれの果てだった。
答えは暴力的な嵐とともにやってきた。
恋人が心を惹かれる相手の出現。
彼女と私の生ぬるい空気に満ちて、垂れ込めた雲に覆い尽くされた日常が、突然冷水を浴びせられ、突風にさらわれ、部屋は荒れ、埃は吹き飛ばされ、すべてが泥にまみれた。
ひたすら新しい人との行き所のない道を探る恋人を前にして、私が渇望したのは、たったひとつ。
彼女の抱擁だった。
できない、と拒否する彼女。
泣き叫び、二人の部屋から雨降る夜の闇に逃げ出す私。
ただの抱擁。
ただの口づけ。
それが得られなくて、得たくて、狂ったように一人で走り回る。
これほどの渇望は、いったいいつから消えてしまったろう。
とぼりとぼりと、歩いてひとり、部屋へ帰った。
彼女と、話した。
いや、彼女の話を、聞いた。
彼女が心ごとさらわれたその人のことを。
聞いて、聞いて、笑って、泣いて、聞いて。
そうして、ひとり眠る前に、彼女にひとつだけお願いした。
キスをして。
彼女はしてくれた。
魂の口づけ。
どれほどそれは、センシュアルだったことか。
六年目の口づけは、私が一生でしたどの口づけよりも、体と心を震わせる、口づけだった。
それらが私に教えてくれたこと。
私の性は、心とともにある。
私の性は、体とともにある。
それらはみっつが重なり合い、求め合い、もつれ合って、私の奥という奥へと染み渡ってゆく。
昔はそうだったように。
ただ、長い時間が忘れさせただけ。
突然のストームに洗われて、新しい大地が目を覚ますように。
私のすべてが目を覚ます。
私は彼女を、求めている。
心も、体も。
震えるほどに深く。強く。
それは、間違いなく喜びなのだ。
悲しみ、痛み、苦しみをともなっていてもなお。
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