あたしはこれを、恨みを刻むためではなく、いつか手放せる日のために、記録しておきたい。
昨日からずっと回っている兄のメールの高圧的な一文。
「正月には帰省して欲しいが、その場合あなたの同居人は連れてこないでほしい」
勘違いしているなあと思うのは、家は両親の家であって、年に一度現われるかどうかという兄やあたしの家ではない。だからあたしがお邪魔するなら母や父にお伺いを立てることこそあっても、兄に「連れていってもいいですか」と聞く義務はないのだし、ましてやあたしと同じ両親宅の客にすぎない兄に「連れてくるな」と命令する権利はない。権利はないけど命令できると思っているのが兄妹の関係性なのか。話しながら弱くも泣きだしたあたしに、恋人は強い口調で「お兄ちゃんになんかわかりっこない。でもちゃんと分かってくれる人はいるよ」と励ましてくれた。
なぜこんなばかばかしい兄の世迷言で泣いてしまうのか。
問題は、これがもし私が結婚していたならどうか、ということでもある。馬鹿兄が結婚したあたしに言うことがあるだろうか。
「オマエは帰ってこい。でも旦那(または嫁)は正月の一家団欒は遠慮しろ」
こういう話なら、いわゆる昼のワイドショーで小姑と嫁の問題などでよくある問題として、ああだこうだと議論の対象になる。でも、あたしと恋人の場合はその対象にさえならない。そこが問題なのだ。
あたしは母と兄にはカムアウトしていて、あたしたちが長くともに暮らしていることを知っている。けれどあたしと恋人は結婚していない。制度があったとしてどうか。それはわからなくとも、今のあたしはあたしのパートナーをわざわざ取り上げて排除しようとする人を、家族と呼びたくない。
分かってくれる人があたしの家族。言い聞かせながら、単純にいかないこの家族というものを、苦く噛み締める。
最近のコメント