参った参った。今日は冷たい春の雨。恋人はどうやら切ない徹夜仕事とメールあり。 三冊漫画を読破す。
吉田秋生「海街Diary3 陽のあたる坂道」 西炯子「娚の一生」1,2
吉田秋生はなんだかもう絵に描いたようにスッキリとキレイに年取ってて、凄すぎるよ。するすると職人芸みたいにきちんとこなれた作品出してて、あーすごい。。このレベルの保ち方は尋常じゃない。でもさ、なんかあたしは遠いんだよね。キチンとし過ぎてるというか、一種天才的な時代の読み方というか、まさに彼女の作品全体に漂う心地良い諦念というか、そういう空気が。漫画に持っていてほしい触れたら切れるような緊張感というか、強い色が、今の彼女にはない。そうだね、吉祥天女やBanana fishの初期にあったようなガラスの板一枚を震わす音は、もう聴けない。今の枯れた感じも悪くない、決して悪くなんかないし、寧ろ作品全体のバランスなんかは今の方がミーハーさが薄れている分、良い感じになってる。でもさ、あたしは吉田秋生にはつっぱしっててほしいんだよね。サリンジャーも死んだしな。
西炯子は、世代は十年下がるけど、なんかちっとも成長しないし、守備範囲の広さに驚いても基本はJUNE誌でゲイもの描いてたころからなぁんにも変わってない。場面転換わかり難いし、吉田秋生読んだ後だとなおさら「状況を瞬時に分からせる吉田秋生、凄え」となるんだな。でもそれでもあたしは西炯子、好きなのよね。取り敢えず分かり難くでも登場人物に癖有り過ぎでも、ストーリーなんてどうでもいいだろ、西さんよぉとか思っても、何やら我道をひた走る西炯子キャラをどうにか見守りたいと思う。この「娚の一生」、結婚がどうの言ってて擦った揉んだ、内容的にはあまりにありきたりなラブストーリー、しかも主人公はコンプレックスの塊ときてる。どーする、少女漫画王道だよ。で、このキラキラ少女漫画の主人公女性、なんと30代後半、相手の男性52歳なんだわ。老らくの恋一歩手前かと思いきや、バリバリ恋愛してんの。性欲もバリバリ現役。この辺の描写はさすがエロティックが上手い。とってもsensual、モロそういう場面描かなくてもチャンとエロくなるのねという描写だらけ。うーんオトナだぁね。
そんなわけです。どんな訳だと突っ込みたい方は、三冊読み比べて下さいまし。まったくどうでもいい話だけれど、世代的には吉田秋生は西炯子の一世代前、西の師匠ともいえる竹宮恵子(確か西は竹宮恵子がJUNE誌で連載していた漫画道場の投稿者ではなかったか)は、吉田秋生の一世代前。書いていて思い出したけど、吉田秋生も中島梓の連載の挿絵でJUNE誌に載っていたのだった。今思うとヤオイ(BLではなかった。。)抜きでは少女漫画が成り立たない時代があった。今は完全にメディアで棲み分けている感じを、受けるけれど。それだけ同性愛という題材がジャンルとして定着してしまったことに、やはり違和感を捨てられない。混在しているから許せるあれこれもあったなあ。 話が完全に逸れました。
とにもかくにも、隔世の感にたえない三冊、なんか違うかもと思いつつオススメいたします。どちらも面白いですわ、貴方が三十代後半以上の方ならきっとぐっとくるポイントの一つや二つ、見つかるでしょうよ。見つからなかったら、「お、俺って若いかも」と喜んで下さい。もしかすると恋愛も家庭も嫌いじゃいと怒られるかもね。ちょっと待って、あなた何故この漫画読んだの。。。??
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