la la la human stepsというダンス集団の映像作品「Amelia」をテレビで見た。
信じられないようなすばやく激しい動き。
そして、その動きの中でもいっさい芯がブレることがない、まるで床に吸い付くようにバランスを保って常に重心が安定しているダンサーたち。
阿部氏のワークショップで印象に残ったひとつが、この「重心」
バレエの基本ではとにかく重心を言うけれど、すべての身体を使った表現者に共通するようだ。
重心がどこにあるのか。それを常に意識しながら動き、表現すること。
ああ、表現者に限らず、これは人生すべてに通じる真理なのかもしれない。
このところ、私の生活の重心がぶれてきている。さほど重要と考えていない仕事に一日の大半を割かねばならない現在の状況の中で、息抜きもできないことが、私の重心を崩している。なんということか。私の生活の重心は「息抜き」にこそあったのだ。嘆かわしいけれど、それが事実なのだから、しっかと見るべきだろう。かなり辛いことは辛いのだけれど、そうして私の生活の問題点が洗い出されてくることは、むしろ快感でさえある。なにがなんだか分からずただ不調でいるよりは、原因がわかったほうが百倍楽というもの。またこのわたしの状況は、その気になって努力をすればなにかしら変わる可能性があることなのだから。
ビデオにとった「Amelia」を繰り返し、見る。
気になってネットで検索してみたら、DVDも出ているらしい。テレビで放映されたのはハイライトだったから、全体を見られるなら見てみたい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1385048
「高速バレエを特徴とする」
とどこかのサイトに書いてあったけれど、私にとってはむしろ「高速」よりも「磁石のように地面に吸い付く体」のほうが興味深い。なるほど確かに高速であればあるほど「吸い付き」さ加減は際立つ。いまにも飛び立ちそうな羽さえもダンサーたちの背中に見える気がするのに、どこまでも彼女ら彼らは重力の虜なのだ。
ふと思う。重心を失ったと書いたけれど、あるいは失った重心は、私が最も鬱陶しいと感じる、なんのやりがいも感じない仕事のほうにあるのかもしれない。この重力に私は囚われているのかもしれない。この重力があるから息抜きを生きがいに出来るのかもしれない。
メイ・サートンが教えてくれるのは、芸術家ではない人が、いかに自分の時間をやりくりして芸術へささげる時間を作り出しているか、ということ。かの人々の重心もまた、心に住む鬼の居場所によってあちらにうつり、こちらにうつりしているのだろう。
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