日は強く照りつけるのに、風が吹けば熱は吹き飛ばされる。
暮れて昇った月の蒼さが夜気に透きとおる。
秋なんだね。
C'est un aquoiboniste
Un faiseur de plaisantristes
Qui dit toujours a quoi bon
A quoi bon
Un aquoiboniste
Un modeste guitariste
Qui n'est jamais dans le ton
A quoi bon
あの人は「何にもならない」が口ぐせ
悲しい冗談家のよう
いつも「何にもならない」ばっかり
「何にもならない」が口ぐせの
目立たないギター弾き
だけど本気で「何にもならない」とは
決して云わない
ジェーン・バーキン「L'aquoiboniste」が一日中頭を回っていた。
フランス語の母音のリフレインが面白くて、かぼそいバーキンの囁く声が心地よくて、すこし悲しくうらぶれたメロディが今の気分にしっくりきて。
意味は全く分からないでいたのに、なぜか意味は分かっていた。
唄って、音の響きって、メロディって、おもしろい。
うん。本気で「何にもならない」って思っていたら、きっとあたしになんか会わないだろう。
それでもはるか離れてしまったあたしに出来るのは、こうして遠く見ていることくらい。
結局、人に関わるなんて並大抵ではできないし、不要な手は相手を煩わせるだけ。
ときどきたまらなく悲しくなる。肩をつかまえて、揺すぶりたくなる。
これは本当にあなたが求めていたものなの。
「すべてを得ることはできない」
それが本当と分かっていて、あたしはおそらくずっと得られぬものを追い求める。まぼろしと分かっていてなお。
あたしには、それを言う権利はない。あの人の生き方が間違っていて、あたしのが正しいなんて、幸福の形を限定してしまうことを、あたしは自分自身にも許さない。
悲しくても、悔しくても。あの人はあたしから離れていったのだから。あたしはそれを見送るしかなかったのだから。
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